ヤマハ MT-09 ABS は、
- 水冷4ストロークDOHC4バルブ 直列3気筒(CP3エンジン)
- 総排気量 888cm³
- 最高出力 88kW(120PS)/10,000rpm
- 最大トルク 93N・m(9.5kgf・m)/7,000rpm
- 車両重量 約193kg(2025年国内MT-09 ABS)
- シート高 825mm
- 燃料タンク容量 14L(無鉛プレミアムガソリン指定)
というスペックを持つ、水冷3気筒エンジン搭載のロードスポーツネイキッドです。
2021年のフルモデルチェンジで排気量を888cm³に拡大し、
2024年にはポジションや外装を刷新、2025年もカラー追加が行われています。
一言でまとめると、
「軽さとトルクを両立した3気筒エンジンに、
充実した電子制御と最新装備を載せた“完成度の高いミドルネイキッド”」
この記事では、
- 現行MT-09の正確なスペック
- 良いところ/気になるところ
- MT-07・初期型MT-09・兄弟車との違い
- どんな人に向いているか
を、街乗り〜ツーリング・ワインディング目線で解説します。
※画像はAIによるイメージです
現行 MT-09(888cm³)の主要スペック
車体サイズ・重量(国内仕様 MT-09 ABS)
- 全長:2,090mm
- 全幅:約820mm
- 全高:約1,145mm
- ホイールベース:1,430mm
- 最低地上高:140mm
- シート高:825mm
- 車両重量:約193kg(MT-09 ABS)
- 乗車定員:2名
エンジン・トランスミッション
- 原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
- 気筒数配列:直列3気筒(クロスプレーン・コンセプト CP3)
- 総排気量:888cm³
- 内径 × 行程:78.0mm × 62.0mm
- 圧縮比:11.5:1
- 最高出力:88kW(120PS)/10,000rpm
- 最大トルク:93N・m(9.5kgf・m)/7,000rpm
- 始動方式:セルフ式
- 潤滑方式:ウェットサンプ
- エンジンオイル容量:3.5L
- 燃料供給方式:フューエルインジェクション
- 燃料タンク容量:14L(ハイオク指定)
- 変速機形式:常時噛合式6速リターン
足まわり・ブレーキ・タイヤ
- フレーム:CFアルミダイキャスト製デルタボックスフレーム
- フロントサスペンション:倒立テレスコピック(調整機構付き)
- リアサスペンション:リンク式モノクロス
- フロントブレーキ:ダブルディスク+ラジアルマウントキャリパー+ABS
- リアブレーキ:シングルディスク+ABS
- タイヤサイズ:
- 前:120/70ZR17M/C
- 後:180/55ZR17M/C
燃費(届出値)
- 定地燃費値:30.4km/L(60km/h・2名乗車時)
- WMTCモード値:20.4km/L(クラス3・サブクラス3-2・1名乗車時)
MT-09の良いところ(メリット)
① 888cm³・120PSのCP3エンジンが“楽で速い”
現行MT-09の心臓部は、排気量を拡大した 888cm³ CP3エンジン。
- 最高出力:120PS/10,000rpm
- 最大トルク:93N・m/7,000rpm
という数値どおり、
- 低〜中回転から太いトルクでグイグイ進む
- 7,000rpm前後で最大トルクが出るので、日常域で余裕が大きい
- スロットルを開ければ、あっという間に“危ない速度”まで加速
「ちょっと回しただけで、もう十分速い」
という、“楽をしても速い”タイプのエンジンです。
3気筒らしい、
- 2気筒ほどドコドコしすぎず
- 4気筒ほど高回転偏重でもない
絶妙なバランスのフィーリングも魅力です。
② 軽量コンパクトな車体で、取り回しとハンドリングが軽い
- 全長2,090mm・ホイールベース1,430mm
- 車両重量 約193kg
というスペックは、900ccクラスとしてはかなりコンパクト&軽量。
- 押し引きで「リッタークラスほどの絶望的な重さ」は感じにくい
- 細いワインディングでも、切り返しが軽快
- 街中のUターンや駐輪場での取り回しも現実的
「大型=重くて扱いづらい」というイメージをいい意味で裏切ってくる一台です。
③ 新設計フレーム+スピンフォージドホイールで足まわりが高レベル
現行MT-09は、フルモデルチェンジ時に
- CFアルミダイキャスト製デルタボックスフレーム
- ヤマハ独自のスピンフォージドホイール
を採用。
- フレーム剛性の最適化による素直なハンドリング
- 軽量ホイールによるバネ下重量の低減
- コーナリング時の接地感と旋回性の両立
など、「パワー任せのじゃじゃ馬」ではなく、“よくできたロードスポーツ”としての完成度が高まっています。
④ IMU+多彩な電子制御で、安心感も高い
6軸IMUを中心とした電子制御も充実しています。
- トラクションコントロール
- スライドコントロール
- リフトコントロール
- コーナリングABS
- ライディングモード切替(パワー特性・介入度を選択)
などにより、
- 路面状況やライダーのスキルに合わせてセッティング可能
- うっかりスロットルを開けすぎたときにも、電子制御がサポート
「パワーは強烈だけど、昔のリッターネイキッドほど“怖さ一辺倒”ではない」
という意味で、パワーと安全性のバランスが良いミドルネイキッドになっています。
⑤ 2024年のマイチェンでポジション&シートも進化
2024年モデルでは、
- ハンドル位置をやや低く
- ステップ位置を後方&やや上方(調整機構付き)
- シートは前後セパレート形状+ランバーサポート風デザイン
など、ポジションの見直しが行われました。
- 以前よりもスポーティな前傾寄りポジション
- それでいて長時間走行を考えたサポート性のあるシート
「ただのストリートファイター」から、「スポーツ色の強いロードスポーツ」へ
キャラクターが一段シフトした印象です。
MT-09の気になるところ(デメリット)
① シート高825mm+車体ボリュームで、足つきは人を選ぶ
- シート高:825mm
タンク周りのボリュームもあるため、
- 小柄なライダーだと「両足つま先〜片足ツンツン」になりがち
- 取り回しや傾斜のある場所では緊張する場面も出やすい
足つきに不安がある場合は、必ず実車にまたがって確認した方が安心です。
② ネイキッドなので高速巡航では風をしっかり受ける
- カウルレス+小ぶりなヘッドライトまわり
という構造上、
- 高速道路で長時間巡航すると、上半身への風圧で疲れやすい
- 純正/社外のスクリーンを追加しているオーナーも多い
下道メインなら大きな問題はありませんが、
高速メインのロングツーリングを頻繁にやるなら、防風対策前提と考えるのが無難です。
③ パワーと電子制御の多さで“オーバースペック”に感じる人もいる
- 888cm³・120PS・93N・m というスペック
- トラコンやモード切替など、多彩な電子制御
は、初心者から見ると少し構えさせる要素でもあります。
- 「ここまでのパワーはいらないから、もっと気楽なミドルがいい」
- 「電子制御の設定を色々いじるのが面倒」
という人だと、MT-07や他のミドルネイキッドの方が性格に合っている場合もあります。
MT-09は他のモデルとどう違う?
1. MT-09 vs MT-07
MT-07
- 688cm³並列2気筒・73PS/68N・m
- 車両重量183kg前後
- 電子制御は比較的シンプル
MT-09
- 888cm³並列3気筒・120PS/93N・m
- 車両重量約193kg
- IMUベースの多彩な電子制御を搭載
ざっくり言えば、
- 「軽くてシンプル、ちょうどいいミドルが欲しい」 → MT-07
- 「電子制御込みで、パワーと装備が充実したミドル上限クラスが欲しい」 → MT-09
という住み分けになります。
2. 現行MT-09 vs 初期型MT-09(846cm³・110PS)
初期型(EBL-RN34J・846cm³)
- 最高出力110PS/9,000rpm
- 最大トルク88N・m/8,500rpm
- 車両重量188kg(ABS無し)/191kg(ABS付き)
- 電子制御はモード切替中心で、今よりシンプル
現行888cm³モデル
- 120PS/93N・m
- 車重はやや増えつつも、フレームやホイールの最適化でハンドリングは洗練
- IMU+コーナリングABSなど電子制御が大幅進化
キャラクターとしては、
- 初期型:軽さと荒々しさが目立つ“じゃじゃ馬寄り”
- 現行型:パワーと電子制御を両立した“完成度の高いスポーツネイキッド”
という違いがあります。
3. MT-09 vs XSR900/TRACER9
同じCP3エンジンを使う兄弟車もあります。
- XSR900
- レトロスポーツ寄りの外装・ポジション
- 走りのベースはMT-09に近いが、スタイル重視
- TRACER9シリーズ
- カウル・スクリーン・パニア対応など、ツアラー寄り装備
- 長距離ツーリングを前提にしたパッケージ
「ストリートでライトなスタイル&走りを楽しみたい」 → MT-09
「長距離ツーリング中心/レトロスタイル重視」 → 他のCP3兄弟
という選び方ができます。
MT-09は初心者にも向いている?
向いているケース
- すでに中型クラスをある程度乗りこなしていて、次はパワーのあるミドル〜大型にステップアップしたい
- 3気筒のサウンドやフィーリングが好き
- 電子制御に守られつつ、スポーツライディングを楽しみたい
- 通勤・街乗り~ワインディング・ツーリングまで一台でこなしたい
注意したいポイント
- 120PS・93N・mのパワーは、免許取りたての人にはかなり強烈
- シート高・足つきともに、完全ビギナーにはややハードル高め
- 雨や荒れた路面では、電子制御があっても丁寧な操作が前提
「バイク自体も自分も、ステップアップしたい」という人向けのミドル大型と考えるとしっくり来ます。
MT-09で後悔しやすい人/満足しやすい人
後悔しやすい人
- 足つき最優先で、とにかく低いシート高がほしい
- 高速道路の長距離巡航がメインで、防風性を最重視したい
- 「電子制御よりシンプルなバイクがいい」
- リッタークラスのさらに上のパワーを求めている
こういう人は、クルーザー・ツアラー・リッターネイキッド、
もしくは初期型MT-09や別ジャンルの方が向いている可能性があります。
満足しやすい人
- “軽さ×トルク×電子制御”のバランスが良いミドル大型を探している
- 峠・街乗り・ツーリングを全部1台でこなしたい
- 最新装備(IMU・TFTメーター・多彩なモード)にも魅力を感じる
- CP3エンジンのサウンドやフィーリングに惹かれている
こういうライダーにとって、現行MT-09は
「日常からワインディングまで、ほぼ全部を高いレベルでこなせる相棒」
になってくれるバイクです。


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