【ヤマハ MT-07 レビュー】688cc・73PSのミドルネイキッド決定版【MT-09・XSR700・Z650とも比較】

ヤマハ

ヤマハ MT-07 ABS は、

  • 水冷4ストロークDOHC4バルブ 直列2気筒(270度クランク)
  • 総排気量 688cm³
  • 最高出力 54kW(73PS)/8,750rpm
  • 最大トルク 68N・m(6.9kgf・m)/6,500rpm
  • 車両重量 183kg
  • シート高 805mm
  • 燃料タンク容量 13L

というスペックを持つ、ミドルクラスのロードスポーツネイキッドです。

2025年モデルでは、

  • 新型 5インチTFTメーター
  • 電子制御スロットル「YCC-T」
  • ライディングモードを選べる「YRC」
  • 倒立フロントフォーク+ラジアルマウントキャリパー

など装備面も強化されていて、
「ミドルクラスで一番ちょうどいい1台」を狙える完成度になっています。

この記事では、

  • MT-07の主要スペック
  • 良いところ/気になるところ
  • MT-09・XSR700・Z650・SV650あたりとの違い
  • どんな人に向いているか

を、街乗り〜ツーリング目線でわかりやすく解説します。


MT-07の主要スペック(2025年 MT-07 ABS)

車体サイズ・重量

  • 全長:2,065mm
  • 全幅:780mm
  • 全高:1,110mm
  • ホイールベース:1,395mm
  • 最低地上高:150mm
  • シート高:805mm
  • 車両重量:183kg
  • 乗車定員:2名

エンジン・トランスミッション

  • 原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
  • 気筒数配列:直列2気筒(270°クランク・CP2エンジン)
  • 総排気量:688cm³
  • 内径 × 行程:80.0mm × 68.5mm
  • 圧縮比:11.5:1
  • 最高出力:54kW(73PS)/8,750rpm
  • 最大トルク:68N・m(6.9kgf・m)/6,500rpm
  • 始動方式:セルフ式
  • 潤滑方式:ウェットサンプ
  • エンジンオイル容量:3.00L
  • 燃料供給方式:フューエルインジェクション
  • 変速機形式:常時噛合式6速リターン

足まわり・ブレーキ・タイヤ

  • フロントサスペンション:倒立テレスコピック(φ41mm)
  • リアサスペンション:リンク式モノクロス
  • フロントブレーキ:ダブルディスク+ラジアルマウントキャリパー+ABS
  • リアブレーキ:シングルディスク+ABS
  • タイヤサイズ:
    • フロント:120/70ZR17M/C(58W)
    • リア:180/55ZR17M/C(73W)

燃費(届出値)

  • 定地燃費値:39.8km/L(60km/h・2名乗車時)
  • WMTCモード値:25.4km/L(クラス3・サブクラス3-2・1名乗車時)

MT-07の良いところ(メリット)

① 688cc・73PSの“トルクフルな2気筒”が気持ちいい

MT-07の心臓部は、ヤマハのCP2エンジンと呼ばれる270度クランク並列2気筒。

  • 低回転から粘り強くトルクが出る
  • 中回転域のパンチと、ストリートで使いやすいパワー感
  • 73PS/8,750rpm までスムーズに吹け上がる

という特性で、

  • 普段は3〜5速・4,000〜7,000rpmくらいで十分速い
  • 無理して回さなくても楽に走れる
  • 回したらちゃんと速い、という“ちょうどいいミドル感”

が味わえます。

2025年モデルでは電子制御スロットル「YCC-T」を採用し、
スロットル操作に対するトルクの出方がよりリニアになったのもポイント。


② 183kgの車重とコンパクトな車体で扱いやすい

  • 車両重量:183kg
  • 全長2,065mm/ホイールベース1,395mm

というスペックは、700クラスとしてはかなりコンパクト。

  • 押し引きで「大型だから無理…」というほど重くない
  • 街中のUターンや駐輪場の取り回しも、リッターネイキッドよりずっと気楽
  • ワインディングでは軽快に向きを変えられる

“ミドルクラスの軽さ”と“トルクリッチなエンジン”の組み合わせで、
大型初心者でも扱いやすいのがMT-07の大きな魅力です。


③ ポジションは「ネイキッド+ややスポーツ寄り」で疲れにくい

  • ハンドルはバーハンドル
  • 上体はやや前傾〜中立くらい
  • ステップ位置もスポーツ寄りだが極端ではない

というポジションで、

  • 街乗り・通勤〜日帰りツーリングくらいなら十分こなせる
  • スーパースポーツほど手首や腰がつらくなりにくい
  • かといってダルすぎず、ワインディングでもしっかり荷重をかけられる

「楽すぎず・キツすぎず」の中間をうまく突いたポジションになっています。


④ 倒立フォーク・ラジアルキャリパー・スピンフォージドホイールで脚周りも強化

2025年モデルでは、足まわりも大きく進化しています。

  • フロントにφ41mm倒立フォーク
  • ラジアルマウント式フロントキャリパー
  • 前後にヤマハ独自のスピンフォージドホイール

を採用。

  • ブレーキング時の剛性感アップ
  • コーナー進入〜旋回中の接地感向上
  • ホイールの軽量化によるハンドリングの軽快さ

につながっていて、
ツーリングバイクというより“ちゃんと走れるロードスポーツ”寄りの性格になっています。


⑤ 5インチTFTメーター+YRCで“電子制御ミドル”に

装備面では、

  • 5インチTFTフルカラーメーター
  • 3種類のライディングモードを選べる「YRC」
  • スマホ連携による通知・ナビ表示対応

といった電子制御も搭載。

  • モードを変えて雨の日は穏やか、ドライではダイレクトに
  • メーター表示も見やすく、情報量も十分

「古き良きシンプルMT-07」に、現代的な装備が追加された形です。


MT-07の気になるところ(デメリット)

① 805mmシート高+横幅で、足つきは“誰でもベタ足”ではない

  • シート高:805mm

タンク周りはそこまで太くないとはいえ、

  • 小柄なライダーだと「片足ツンツン〜かかと浮き」になる場合もある
  • レブル系のようなロースタイルクルーザーほどの安心感はない

足つき最優先の人は、必ず実車でまたがって確認した方が安心です。


② 高速巡航・長距離では“ネイキッドらしく”風を受ける

  • カウルレス
  • ハンドル位置もそれなりに高め

なので、

  • 高速道路を長時間走ると、上半身への風圧で疲れやすい
  • スクリーンやハーフカウル付きツアラーほどの防風性はない

高速メインのロングツーリングが多いなら、
スクリーン追加や別ジャンル(TRACER9など)の検討もアリです。


③ ミドルとしては十分速いが、スーパースポーツほどの“尖った刺激”はない

73PS/68N・mという数字は、ミドルネイキッドとしては十分ですが、

  • 高回転4気筒SSのような「上まで一気に伸び続ける感じ」
  • サーキットで本気でタイムを削るためのピーキーさ

を求めると、少し物足りない人もいるかもしれません。

「日常+ツーリング+ワインディングで気持ちよく走る」
という使い方に合ったエンジン性格なので、
フルSS並みの尖り具合を期待すると方向性がズレます。


ライバルとの比較:MT-09・XSR700・Z650・SV650とどう違う?

1. MT-07 vs MT-09

MT-09

  • 888cm³ 直列3気筒
  • 最高出力 88kW(120PS)クラス
  • 装備・電子制御もさらに豪華

MT-07

  • 688cm³ 直列2気筒(73PS)
  • 車両重量183kgでMT-09より軽い

ざっくり言うと、

  • 「暴力的な加速と最新電子制御まで欲しい」 → MT-09
  • 「そこまでのパワーは要らないが、軽くて扱いやすくて楽しいのが欲しい」 → MT-07

という住み分けです。


2. MT-07 vs XSR700

XSR700

  • 基本構成はMT-07と共通のCP2エンジン・車体
  • スタイルは“スポーツヘリテージ”で、丸目ライト・レトロ寄りデザイン

MT-07

  • デザインは完全にストリートファイター系
  • ハンドル・足まわりのセッティングもややスポーティ寄り

「見た目はレトロ寄りがいい」「カフェっぽく乗りたい」 → XSR700
「MTシリーズの尖った顔が好き」「MTワールドの世界観でまとめたい」 → MT-07


3. MT-07 vs Z650 / SV650

Kawasaki Z650・Suzuki SV650 も、2気筒ミドルネイキッドのライバルです。

  • Z650:649cm³並列2気筒
  • SV650:645cm³ 90度Vツイン

どちらも、

  • 中低速トルク重視で、街乗り・ツーリングに強い
  • ミドルクラスとしては扱いやすいキャラクター

と共通しています。

MT-07は、

  • 688cm³・73PS・68N・m という、やや余裕のある排気量とトルク
  • 270°クランクの独特なパルス感とサウンド
  • 2025年モデルの倒立フォーク・ラジアルキャリパー・YCC-T+YRC

あたりで差別化されていて、
「最新装備を備えた、等身大のトルクフルミドル」というポジションになっています。


MT-07は初心者向き?

向いているポイント

  • 183kgで、リッタークラスよりかなり軽い
  • 低〜中回転トルクが豊かで、常用域で扱いやすい
  • ABS・電子制御も備わっていて安心感が高い
  • ネイキッドなので視界が広く、操作も分かりやすい

「大型免許を取って、最初の1台をミドルで探している」

という人には、かなり現実的な選択肢です。

注意したいポイント

  • シート高805mmで、小柄なライダーには足つきがシビアな場合も
  • ネイキッドなので高速巡航メインだと疲れやすい
  • スクーターのような“完全おまかせ快適ポジション”ではない

足つきとポジションは、必ず実車でチェックしてから決めるのがおすすめです。


MT-07で後悔しやすい人/満足しやすい人

後悔しやすい人

  • とにかくシートが低くないと不安
  • 高速道路メインで、強力な防風性を求める
  • サーキットで純粋にラップタイムを削るのが目的
  • 「どうせなら最初からリッターSS級のパワーが欲しい」

こういう人は、クルーザー・フルカウルツアラー・リッターSSなど別ジャンルを選んだ方が満足度は高いです。


満足しやすい人

  • ミドルクラスで「軽さ」と「トルクの太さ」を両立したい
  • 通勤・街乗りとワインディング・ツーリングを1台でこなしたい
  • SSほど前傾にしたくないけど、“ちゃんと走る”バイクが欲しい
  • でも装備は今どきの電子制御・TFTメーターも欲しい
  • MTシリーズ/CP2エンジンのフィーリングが好み

そんなライダーにとって、MT-07は

“日常で楽しめるトルクフルなミドルネイキッド”のど真ん中

と言っていい1台になるはずです。

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