【ヤマハ MT-09 初期型レビュー】846cc 3気筒×110PSのじゃじゃ馬ネイキッド【現行型との違いも解説】

ヤマハ

ヤマハ MT-09 初期型(EBL-RN34J) は、

  • 水冷4ストロークDOHC4バルブ 直列3気筒(クロスプレーンコンセプト)
  • 総排気量 846cm³
  • 最高出力 81kW(110PS)/9,000rpm
  • 最大トルク 88N・m(8.9kgf・m)/8,500rpm
  • 車両重量 188kg(ABSは191kg)
  • シート高 815mm
  • 燃料タンク容量 14L(ハイオク指定)

というスペックを持つ、3気筒エンジンのネイキッドスポーツです。

2014年に登場した初期型は、

「クロスプレーンコンセプト3気筒で、
ライダーの意思とシンクロして走る“シンクロナイズド・パフォーマンス・バイク”」

というコンセプトで開発されたモデル。

  • 110PS × 188kg のパワーウエイトレシオ
  • スーパーモタード風のコンパクトな車体
  • 比較的シンプルな電子制御

のおかげで、“手の内に収まるギリギリ手前のじゃじゃ馬感” が魅力の1台です。

この記事では、

  • 初期型MT-09(RN34J)の正確なスペック
  • 良いところ・気になるところ
  • 現行MT-09(888cc)との違い
  • どんな人に向いていて、どんな人はやめておいた方がいいか

を、街乗り〜ツーリング・ワインディング目線で解説します。


初期型 MT-09(RN34J)の主要スペック

車体サイズ・重量

  • 型式:EBL-RN34J
  • 全長:2,075mm
  • 全幅:815mm
  • 全高:1,135mm
  • ホイールベース:1,440mm
  • 最低地上高:135mm
  • シート高:815mm
  • 車両重量:188kg(MT-09)/191kg(MT-09A:ABS仕様)
  • 乗車定員:2名

エンジン・トランスミッション

  • 原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
  • 気筒数配列:直列3気筒(クロスプレーンコンセプト)
  • 総排気量:846cm³
  • 内径 × 行程:78.0mm × 59.0mm
  • 圧縮比:11.5:1
  • 最高出力:81kW(110PS)/9,000rpm
  • 最大トルク:88N・m(8.9kgf・m)/8,500rpm
  • 始動方式:セルフ式
  • 潤滑方式:強制圧送ウェットサンプ
  • エンジンオイル容量:3.4L
  • 燃料供給方式:フューエルインジェクション
  • 点火方式:TCI(トランジスタ式)
  • 変速機形式:常時噛合式6速リターン

足まわり・ブレーキ・タイヤ

  • フレーム形式:アルミダイキャストフレーム
  • フロントサスペンション:正立テレスコピック
  • リアサスペンション:リンク式モノクロス
  • フロントブレーキ:ダブルディスク+ABS(MT-09A)
  • リアブレーキ:シングルディスク+ABS(MT-09A)
  • タイヤサイズ:
    • 前:120/70ZR17(58W)
    • 後:180/55ZR17(73W)

燃費(届出値)

  • 定地燃費値:27.3km/L(60km/h・2名乗車時)
  • WMTCモード値:19.4km/L(クラス3・サブクラス3-2・1名乗車時)
  • 燃料タンク容量:14L(無鉛プレミアムガソリン指定)

初期型MT-09の良いところ(メリット)

① 846ccクロスプレーン3気筒×110PSのパンチある加速

  • 総排気量:846cm³
  • 最高出力:110PS/9,000rpm
  • 最大トルク:88N・m/8,500rpm

というエンジンは、とにかくトルクが太くてパワフル。

  • 低〜中回転からぐっと押し出されるトルク感
  • 3気筒らしいスムーズさと鼓動感の両立
  • スロットルを開けると、一気に前に飛び出す加速

「回さなくても速いけど、回したらもっと速い」 というキャラクターで、
街中〜ワインディングまで、どこを走っても楽しいエンジンです。


② 車両重量188kgで“大型としてはかなり軽い”

  • 車両重量:188kg(ABS無し)/191kg(ABS仕様)

大型クラスで3気筒・110PSのパワーを持ちながら、この重量に抑えられているのが初期型の強み。

  • 押し引きでも「リッタークラスほどの重さ」は感じにくい
  • ワインディングでの切り返しが軽快
  • 信号ダッシュや市街地のストップ&ゴーでもストレスが少ない

「パワーは欲しいけど、重すぎるバイクはちょっと…」

というライダーにとって、スペックと軽さのバランスが絶妙です。


③ スーパーモタード寄りのポジションでヒラヒラ曲がる

MT-09は、開発段階から

  • ネイキッドにスーパーモタードの要素を組み合わせた車体構成
  • コンパクトな車体(全長2,075mm・ホイールベース1,440mm)

を採用しています。

  • ハンドルは広めで、高さもほどほど
  • ステップ位置もややスポーツ寄りで、前荷重もしやすい

その結果、

  • 細かいコーナーの続く峠でも、スパスパと向きを変えやすい
  • ちょっとしたギャップや路面の荒れにも対応しやすい
  • “フロントを軸にクイッと曲げる”感覚を楽しみやすい

「ハンドリングのヤマハ」らしい、曲がる楽しさを強く意識したパッケージになっています。


④ 電子制御はシンプルで“バイクと自分で走っている感”が強い

初期型MT-09(国内仕様)は、

  • ライディングモード切替(STD/A/B)のみ
  • IMUや多段トラコン・スライドコントロールなどはなし

という、今の基準から見ると非常にシンプルな電子制御構成です。

  • 余計な介入が少なく、スロットル操作と車体の挙動がダイレクト
  • “自分の右手で走らせている感覚”が強い
  • 電子制御に頼らない乗り味が好きな人にはハマる

「電子制御バリバリの最新車より、素のポテンシャルを味わいたい」
という人には、むしろこのシンプルさが魅力になります。


⑤ 中古車市場で手の届きやすい価格帯になってきている

  • デビューは2014年
  • すでに現行は888ccの新型へモデルチェンジ済み

という背景もあり、初期型は中古車として狙いやすい価格帯まで落ち着いてきています。

  • 110PS・3気筒・188kgというスペック
  • ヤマハ製3気筒+アルミフレームの大型ネイキッド

を、このクラスの価格で買えるのは、今のうちだけと言ってもいいかもしれません。


初期型MT-09の気になるところ(デメリット)

① 815mmシート高+横幅で、足つきはそこそこシビア

  • シート高:815mm

タンク周りのボリュームもあるため、

  • 小柄なライダーだと「両足つま先〜片足ツンツン」になりがち
  • 取り回しや傾斜のある路面では、足つきに不安を感じる場面も

足つき最優先の人は、必ず実車でまたがって確認した方が安心です。


② ネイキッドなので高速巡航では風を受けやすい

  • カウルレス+小さめのヘッドライトまわり

という構成上、

  • 高速道路での長時間巡航では、上半身への風圧で疲れやすい
  • スクリーン追加などのカスタムで対策するオーナーも多い

下道メインなら問題ありませんが、高速ツーリング中心なら対策前提と考えた方がいいです。


③ “初期型らしいじゃじゃ馬感”は、合う人と合わない人が分かれる

  • 軽い車体に110PSの3気筒
  • 電子制御はシンプル

というパッケージゆえに、

  • ラフなスロットル操作や雑なライディングだと、挙動が出やすい
  • 雨の日・荒れた路面では、慎重なスロットル操作が必要

「乗り手を選ぶ」と言われるのは、この“素の鋭さ”ゆえでもあります。

電子制御でガッチリ守られた最新車に慣れている人だと、最初は戸惑うかもしれません。


初期型と現行MT-09の違い

ここでは、ざっくり「初期型(RN34J)」と、
最新世代のMT-09(排気量拡大後の888ccモデル)を比較します。

1. エンジン・出力の違い

初期型 MT-09(RN34J・国内仕様)

  • 総排気量:846cm³
  • 最高出力:81kW(110PS)/9,000rpm
  • 最大トルク:88N・m/8,500rpm

現行 MT-09(888cc世代の一例)

  • 総排気量:888cm³
  • 最高出力:120PS/10,000rpm 前後
  • 最大トルク:約93N・m/7,000rpm

現行型は排気量アップにより、

  • 最高出力が向上
  • トルクのピーク回転数が下がり、より低めの回転域で太いトルクを発生

という性格になっています。

一方で初期型は、

  • 110PSでも車重が軽く、レスポンスも鋭め
  • 高めの回転数でトルクピークを迎える“元気な3気筒”

というキャラクターが強く、より“じゃじゃ馬寄り”な印象です。


2. 車体・電子制御の違い

初期型 MT-09

  • アルミフレーム+正立フォーク(後年モデルで調整機能追加)
  • ライディングモード(STD/A/B)のみ
  • IMU・コーナリングABS・スライドコントロールなどは無し

現行 MT-09

  • 新設計デルタボックスフレーム
  • 6軸IMUを中心とした多彩な電子制御
    • トラクションコントロール
    • スライドコントロール
    • リフトコントロール
    • コーナリングABS など
  • TFTメーター・多彩なライディングモード・クルーズコントロール など装備も充実

ざっくり言えば、

  • 初期型:素のポテンシャルと軽さで勝負する“生感の強いMT-09”
  • 現行型:電子制御と装備を充実させた“完成度の高いMT-09”

というキャラクターの違いがあります。


3. どっちが誰に向いている?

  • 電子制御の安心感もほしい
  • 高速ツーリングやロングライドも快適にこなしたい
  • 最新装備(TFT・クルコンなど)も重視 → 現行MT-09向き
  • 電子制御よりダイレクト感が好き
  • なるべく軽い車体で、ハンドリングと加速を楽しみたい
  • 中古車でコスパ良く3気筒ネイキッドを手に入れたい → 初期型MT-09向き

初期型MT-09は初心者にも向いている?

向いているケース

  • すでに中型クラスである程度の経験があり、パワーのあるバイクにステップアップしたい
  • 電子制御に頼りすぎず、自分の操作でコントロールする感覚を楽しみたい
  • 軽い大型ネイキッドで、ワインディングを積極的に走りたい

注意したいポイント

  • 110PS・3気筒のレスポンスは、中型から乗り換えると明確なパワー差
  • 電子制御は今の基準では“最低限”なので、荒れた路面や雨天でのラフな操作は危険
  • シート高・足つきともに、初心者にはそこそこシビア

免許取りたての完全なビギナーが、いきなり初期型MT-09からスタートするのはおすすめしづらいですが、
中型での経験がある程度あれば、“緊張感込みで楽しめる1台”になってくれます。


初期型MT-09で後悔しやすい人/満足しやすい人

後悔しやすい人

  • 足つき最優先で、もっと低いシートが欲しい
  • 高速道路メインで、強い防風性を重視している
  • 電子制御でガッツリ守られている安心感がないと不安
  • 「穏やかな乗り味のツアラー」が理想

こういう人は、トレーサー系・ツアラー系・クルーザー系、
もしくは現行MT-09の方が満足度が高い可能性があります。


満足しやすい人

  • 軽い車体にパワフルなエンジンという組み合わせが好き
  • 3気筒サウンドとクロスプレーンコンセプトに惹かれている
  • 電子制御より、自分のライディングスキルでコントロールしたい
  • 現行の“完成されたMT-09”より、初期型の荒々しさに魅力を感じる

こういうライダーにとって、初期型MT-09は

「いつまでも手放したくない、“自分のじゃじゃ馬”」

になり得る一台です。

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