カワサキ Ninja ZX-25R SE(型式 8BK-ZX250H) は、
- 水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ
- 総排気量 249cm³
- 最高出力 35kW(48PS)/15,500rpm(ラムエア加圧時 36kW(49PS)/15,500rpm)
- 最大トルク 22N・m(2.2kgf・m)/12,500rpm
というスペックを持つ、クラス唯一の250cc直4スーパースポーツです。
しかも車体は
- 全長 × 全幅 × 全高:1,980 × 750 × 1,110mm
- 車両重量:184kg
- シート高:785mm
- タンク容量:15L
という、250フルカウルとしてはしっかりしたサイズと装備。
この記事では、
- ZX-25R SEの正確な主要スペック
- 良いところ・イマイチなところ
- CBR250RR/YZF-R25/GSX250R/ZX-4Rとの「性格の違い」
- どんな人に向いていて、どんな人はやめた方がいいか
をまとめます。
Ninja ZX-25R SE(8BK-ZX250H)の主要スペック
車体・エンジン諸元
車体まわり
- 型式:8BK-ZX250H
- 全長 × 全幅 × 全高:1,980mm × 750mm × 1,110mm
- 軸間距離:1,380mm
- 最低地上高:125mm
- シート高:785mm
- 車両重量:184kg
- 最小回転半径:2.6m
エンジン・トランスミッション
- エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC4バルブ
- 総排気量:249cm³
- 内径 × 行程:50.0mm × 31.8mm
- 圧縮比:12.5:1
- 最高出力:35kW(48PS)/15,500rpm
- ラムエア加圧時:36kW(49PS)/15,500rpm
- 最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/12,500rpm
- 始動方式:エレクトリックスターター
- トランスミッション形式:常時噛合式6段リターン
- クラッチ形式:湿式多板
燃料・燃費
- 燃料タンク容量:15L
- 定地燃費値(60km/h・2名乗車時):24.6km/L
- WMTCモード値(クラス3-2・1名乗車時):18.7km/L
足まわり・ブレーキ
- フロントサスペンション:倒立テレスコピック(SFF-BP/プリロード調整機構付き)
- リアサスペンション:スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)
- フロントブレーキ:シングルディスク(φ310mm)+ラジアルマウントキャリパー
- リアブレーキ:シングルディスク(φ220mm)
- タイヤサイズ:
- 前:110/70R17M/C 54H
- 後:150/60R17M/C 66H
電子制御・装備の代表例
- KTRC(カワサキトラクションコントロール)
- パワーモード
- KQS(カワサキクイックシフター:アップ/ダウン)
- アシスト&スリッパークラッチ
- 4.3インチ フルデジタルTFTカラー液晶メーター
- LEDヘッドライト/LEDウインカー
ZX-25Rの「ここが最高」なポイント
① 15,500rpmで48PSを絞り出す直列4気筒
このバイクの一番の売りはやはりエンジン。
- 最高出力:35kW(48PS)/15,500rpm
- ラムエア加圧時:36kW(49PS)/15,500rpm
10,000rpmを越えたあたりから
- 回転上昇が一気に鋭くなる
- サウンドが“叫び声”みたいに変わる
という、4気筒ならではの高回転フィーリングを味わえます。
250ccでここまで高回転を使えるエンジンは現在ほぼ他に無く、
「回してナンボ」のエンジンが好きな人にはたまりません。
② トレリスフレーム+倒立フォークでシャープなコーナリング
- 高張力鋼トレリスフレーム
- SFF-BP倒立フロントフォーク(プリロード調整付き)
- ホリゾンタルバックリンクリアサス
のおかげで、
- ブレーキングでしっかり荷重をかけられる
- 切り返しも軽く、ヒラヒラ倒し込める
- サーキットでも峠でも、「コーナリングを攻める楽しさ」が強い
“エンジンだけ4気筒”ではなく、足まわりまできっちりスポーツ仕様になっています。
③ 電子制御が「本気なのに優しい」
ZX-25R SE には、上のスペックの通り
- KTRC(トラクションコントロール)
- パワーモード
- クイックシフター(アップ/ダウン)
- アシスト&スリッパークラッチ
などが搭載されています。
これにより、
- 雨の日や路面が悪いときはKTRCで保険を掛けられる
- クイックシフターで、クラッチ操作なしにシフトアップ/ダウン
- シフトダウン時のホッピングをスリッパークラッチが軽減
スペックだけ見ると尖っているけれど、電子制御がカバーしてくれるので、
慣れてくると意外と扱いやすい一面もあります。
④ TFTメーターと装備で「所有感」も高い
- 4.3インチTFTカラー液晶メーター
- サーキットモード対応表示
- LEDライト類一式
など、見た目・操作感の部分もかなり現代的。
ガレージや駐輪場でキーONした瞬間、
「これ、ほんとに250なの?」
と思えるくらいのプレミアム感があります。
ZX-25Rの気になるところ(デメリット)
① 低回転トルクはさすがに薄い
- 最大トルクは 22N・m/12,500rpm と、高めの回転数で発生します。
そのため、
- 3,000〜5,000rpmあたりでダラッと走ると、どうしても“トルク細め”
- 「回してこそ本領発揮」というキャラクター
街乗りだけ・低回転だけで乗ると、
**「スペックのわりに速く感じない」**というギャップが出ることがあります。
② ポジションはそれなりに前傾
- クリップオンのセパレートハンドル
- ステップ位置もスポーツ寄り
- シート高は785mmで、スポーツバイクとしては標準的
いわゆるツアラー系やネイキッドと比べると、
- 手首・肩・首・腰への負担は大きめ
- 渋滞路や長時間の街乗りでは「スポーツバイクだな…」と実感する場面も多い
ラクさより“走り”を優先したポジションと考えた方がいいです。
③ ランニングコストは250としては重め
- 高回転を多用するエンジン
- 110/150サイズのラジアルタイヤ
- 高性能ブレーキ
などの影響で、
- オイル管理
- タイヤ代
- ブレーキパッド
など、維持費は一般的な250ツインよりかかりやすいです。
「250だから維持費も軽くて当然」という感覚だと、後からギャップを感じるかもしれません。
他の250フルカウル&ZX-4Rと比べてどう?
ここからは、よく比べられるモデルとのキャラクターの違いに絞って解説します。
1. ZX-25R vs CBR250RR/YZF-R25/GSX250R(2気筒勢)
ざっくり言うと、
- CBR250RR/YZF-R25
→ 2気筒スポーツ。高回転も気持ちいいが、中低速トルクとのバランスが良い - GSX250R
→ 同じく2気筒だが、よりツアラー寄りの穏やかな性格
それに対して ZX-25R は、
- 高回転の伸びとサウンドが段違い
- 低回転では2気筒勢ほどのトルク感はない
- 「いつもそれなりに回して走る前提」のバイク
という立ち位置になります。
まとめると:
- 「街乗り〜ツーリングを中心に、たまにスポーツ」
→ 2気筒(CBR250RR/R25/GSX250R)の方がバランスが良い - 「サーキットや峠で、高回転4気筒の世界を味わいたい」
→ ZX-25R がピッタリ
2. ZX-25R vs ZX-4R(400cc直4)
同じ「並列4気筒ニンジャ」でも、排気量と性格が違います。
- ZX-25R
- 249cm³ 4気筒
- 軽さと高回転の“回る楽しさ”に振ったキャラ
- ZX-4R
- 399cm³ 4気筒
- 最高出力 57kW(77PS)/14,500rpm(ラムエア加圧時 59kW(80PS))
- 最大トルク 39N・m/13,000rpm
- 車両重量は189〜190kgクラス
ZX-4Rの方が
- パワーもトルクも一段上
- 高速道路や登り区間での余裕も大きい
一方で、
- 重量や維持費もZX-4Rの方が重い
「250の軽さと4気筒サウンドの両方を取りたい」ならZX-25R、
「より上のパワーと高速性能が欲しい」ならZX-4R という住み分けになります。
ZX-25Rは初心者に向いている?
スポーツ前提なら「アリ」だけど、気楽さ重視なら「ナシ」
ZX-25Rは、
- ABS・トラコン・スリッパークラッチ・クイックシフターなど
- ブレーキや足まわりも高いレベルでまとまっている
という点で、挙動はむしろ素直で安定している部類です。
ただし、
- 高回転までよく回る4気筒
- 前傾の強いポジション
- 維持費もそれなり
という条件なので、
「最初の一台からスポーツ走行を本気でやりたい」
という人にはアリ。
逆に、
「まずは気楽にバイクに慣れたい」
という人には、ネイキッドや2気筒スポーツの方が向いています。
ZX-25Rで後悔しやすい人
- 通勤・買い物など、低速メインの街乗りがほとんど
- 渋滞路が多く、ポジションや熱に弱い
- メンテナンスや消耗品コストをできるだけ抑えたい
- 「4気筒の回転フィール」より「ラクさ・トルク感」を重視したい
こういう人は、CBR250RR/R25/GSX250Rや、ネイキッド250の方が幸せになりやすいです。
ZX-25Rで満足しやすい人
- 250ccで唯一の直列4気筒に強い憧れがある
- 高回転まで回るエンジンとサウンドが好き
- サーキットやワインディングを積極的に楽しみたい
- 多少のキツさやコストより、「走りの楽しさ」を優先できる
こういう人にとって、
**ZX-25R SE は「今しか買えないタイプのバイク」**になり得ます。


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