カワサキ Ninja ZX-4R シリーズ は、
- 排気量399cm³の水冷並列4気筒エンジン
- 最高出力 57kW(77PS)/14,500rpm(ラムエア加圧時 59kW(80PS))
- 最大トルク 39N・m(4.0kgf・m)/13,000rpm
- シート高 800mm、車両重量 190kg(ZX-4R SE)/189kg(ZX-4RR)
というスペックを持つ、400ccクラスでは異例の本気スーパースポーツです。
一言でいうと、
「400でここまでやるの?」と
いい意味で頭がおかしい4気筒スーパースポーツ。
この記事では、
- ZX-4R シリーズ(SE/RR)の正確な主要スペック
- 良いところ/気になるところ
- ZX-25R や Ninja400/CBR400R との違い
- 向いている人/やめた方がいい人
を、ワインディング〜サーキットまで視野に入れて分かりやすく解説します。
Ninja ZX-4R(SE/RR)の主要スペック
ここでは国内仕様(型式 8BL-ZX400P)の Ninja ZX-4R SE/ZX-4RR をまとめて「ZX-4Rシリーズ」として扱います。
車体まわり
- 型式:8BL-ZX400P
- 全長×全幅×全高:1,990mm × 765mm × 1,110mm
- 軸間距離:1,380mm
- 最低地上高:135mm
- シート高:800mm
- 車両重量:
- Ninja ZX-4R SE:190kg
- Ninja ZX-4RR KRT EDITION:189kg
- 最小回転半径:2.6m
- 燃料タンク容量:15L
エンジン・トランスミッション
- エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC 4バルブ
- 総排気量:399cm³
- 内径×行程:57.0mm × 39.1mm
- 圧縮比:12.3:1
- 最高出力:57kW(77PS)/14,500rpm
- ラムエア加圧時:59kW(80PS)/14,500rpm
- 最大トルク:39N・m(4.0kgf・m)/13,000rpm
- トランスミッション形式:常時噛合式6段リターン
- クラッチ形式:湿式多板
足まわり・ブレーキ
- フレーム形式:高張力鋼トレリスフレーム
- フロントサスペンション:倒立テレスコピック(インナーチューブ径37mm、SEはプリロード調整機構付き)
- リアサスペンション:スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)、RRはショーワ製BFRC-lite採用
- タイヤサイズ:
- フロント:120/70ZR17M/C(58W)
- リア:160/60ZR17M/C(69W)
- ブレーキ:
- フロント:デュアルディスク 290mm
- リア:シングルディスク 220mm
燃費(メーカー公表)
- WMTCモード値:20.4km/L(クラス3-2・1名乗車時)
- 定地燃費値:24.4km/L(60km/h・2名乗車時)
Ninja ZX-4Rの良いところ(メリット)
① 399cm³並列4気筒で「77PS/14,500rpm」の狂ったスペック
まず何よりもエンジン。
- 排気量:399cm³
- 最高出力:57kW(77PS)/14,500rpm(ラムエア加圧時 59kW(80PS))
- レッドゾーンは15,000rpmを超える回転域
クラスとしては400ccですが、
エンジンの回り方と音は、完全に“レーサーレプリカ時代の高回転4気筒”そのものです。
- 低〜中速域は街乗りできるだけのトルクも確保
- 10,000rpmを超えたあたりから一気に盛り上がる加速とサウンド
- 高回転を維持して走るサーキットやワインディングで真価を発揮
「回さないともったいないエンジン」です。
② トレリスフレーム+本気足まわりでコーナリングが楽しい
- 高張力鋼トレリスフレーム
- 倒立フロントフォーク(SEはプリロード調整付き)
- ホリゾンタルバックリンク式リアサス(RRはBFRC-lite)
この構成のおかげで、
- ブレーキング〜旋回〜立ち上がりまでの姿勢変化が分かりやすい
- 進入できっちり減速して、 apex に向けて素直に寝ていく感覚
- 高速コーナーでも安定感が高く、不安なくスロットルを開けていける
サーキット・峠を走り込むライダー向けの足まわりです。
③ ZX-25Rベースのコンパクトシャシーで“400なのに小さい”
- 全長1,990mm/ホイールベース1,380mmという数値は、400としてはコンパクトな部類
- ステアリングアングルは左右35°で、低速での取り回しも極端にシビアではない
ZX-25R の車体をベースにしているため、
「400の4気筒なのに、250クラスのサイズ感で振り回せる」
という独特のキャラクターになっています。
④ 電子制御&装備もきっちり現代仕様
グレードや年式によりますが、ZX-4Rシリーズにはおおむね次のような装備が与えられています。
- トラクションコントロール(KTRC)
- パワーモード切替
- アシスト&スリッパークラッチ
- クイックシフター(RR標準・SEは仕様による)
- フルデジタルメーター
- ABS
ZX-4R SE にはさらに、
- 調整機構付きフロントフォーク
- スモークスクリーン
- USB電源ソケット
- フレームスライダー
などの快適装備も標準で搭載されています。
Ninja ZX-4Rの気になるところ(デメリット)
① 車両重量190kgは「クラス最軽量」ではない
- ZX-4R SE:190kg
- ZX-4RR:189kg
400ccスポーツとして極端に重いわけではありませんが、
- 単気筒・2気筒400ネイキッド
- 250クラスの軽量スポーツ
と比べると、押し引きや取り回しでそれなりの重量感はあります。
② パワーもポジションも「完全にスポーツ寄り」
- 77PS/14,500rpm の高回転4気筒
- 前傾が強いスーパースポーツポジション
- ステップも高めで、膝の曲がりもそこそこきつい
そのため、
- 渋滞路の通勤
- 低速ばかりの市街地メイン
といった使い方だと、バイクもライダーも持て余し気味になる可能性があります。
③ ランニングコストは「400cc 4気筒」相応
- タイヤサイズは 120/160 のラジアル
- ブレーキもデュアルディスク
- エンジンも高回転高出力でオイル管理が重要
250や400の2気筒スポーツに比べると、
- タイヤ代・ブレーキパッド代
- メンテナンスの頻度・費用
は高くなりやすいです。
ライバルとの比較
1. ZX-4R vs ZX-25R
まずは同じ「高回転4気筒ニンジャ」の比較。
エンジン/パワー
- ZX-25R:249cm³ 4気筒
- ZX-4R:399cm³ 4気筒
どちらも高回転型ですが、
- ZX-4Rの方がトルク・パワーともに上
- 実用回転域でも余裕があり、高速道路や登り区間で差が出やすい
「4気筒サウンドを楽しみつつ、パワーの余裕も欲しい」なら ZX-4R が有利です。
2. ZX-4R vs Ninja400/CBR400Rなど400ツイン
400クラスには、2気筒の実用スポーツも並びます。
- 2気筒400(Ninja400/CBR400Rなど)
- 低中速トルクが厚く、街乗り・ツーリング向き
- 車両価格・維持費もZX-4Rシリーズより現実的
- ZX-4Rシリーズ
- 4気筒高回転型で、スポーツ走行・サーキット寄り
- 同じ400でも「別物の乗り方」を要求してくる
まとめ
- 「ツーリング+日常使い+たまに峠」→ 400ツインが現実的
- 「ワインディング・サーキットが主役。4気筒の世界を味わいたい」→ ZX-4R
3. ZX-4R vs ハイエンド250(CBR250RRなど)
- CBR250RR などのハイエンド250スポーツも、足まわり・装備はかなり本気
- ただし排気量・トルクの差はどうしてもある
ZX-4Rは、
- 中〜高回転の伸び
- 中速以上のトルク感
- 高速道路での余裕
で250ハイスペック勢より一段上の世界を見せてくれます。
「すでにハイエンド250に乗っていて、次のステップを探している人」にとって、
**ZX-4Rは自然な“上のステージ”**になり得るモデルです。
ZX-4Rは初心者に向いている?
正直に言うと「覚悟があればアリ」
ZX-4Rシリーズは、
- ブレーキ・足まわり・電子制御が高レベルでまとまっている
- 車体挙動も素直で、変なクセは少ない
という意味で、「性能が高すぎて危ないバイク」ではありません。
ただし、
- 77PS・高回転4気筒
- スーパースポーツポジション
- 190kg前後の車重
という数字から分かる通り、
最初から“スポーツ走行する気満々”の初心者向きのバイクです。
「とりあえず気楽な初バイクが欲しい」という人にはまったく向きません。
ZX-4Rで後悔しやすい人
- 通勤メインで、渋滞路ばかり走る
- ロングツーリングでもラクさ重視
- 車体の軽さと足つきの良さを最優先したい
- メンテ・タイヤ・パッドなどランニングコストを抑えたい
こういう人は、
- Ninja400 や CBR400R などの2気筒スポーツ
- もしくは250クラスのスポーツ/ネイキッド
の方が、実際の使い方には合いやすいはずです。
ZX-4Rで満足しやすい人
- 高回転4気筒サウンドに昔から憧れていた
- ZX-25Rではパワー的に物足りない
- サーキット走行や峠走行を本気で楽しみたい
- 250ではなく、400クラスで“攻めるバイク”が欲しい
- 多少のキツさやコストよりも、走りの楽しさを優先できる
こういうライダーにとって、Ninja ZX-4Rシリーズは
「令和に蘇った4気筒レーサーレプリカ的存在」
として、**かなり刺さる1台になるはずです。


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