※最終更新:2025年12月20日
※本記事は制度の要点をわかりやすくまとめたものです(個別の最適解は、勤務先の人事・社労士・税理士等に確認してください)。
年収の壁とは?
「年収が○万円を超えると損する」と言われる“壁”は、じつは 1種類ではありません。
- 税金(所得税・扶養控除など)の壁
- 社会保険(健康保険・厚生年金の加入/扶養)の壁
- 会社の手当(配偶者手当など)の壁(※会社ルール)
この3つが混ざって語られるので、混乱しやすいです。
まず結論:2025-2026の「壁」早見表(重要な順)
“壁”は「年収だけ」で決まらないものもあります(とくに106万円)。ここでは代表的な目安と、何が変わるかを整理します。
税金系(国の制度)
- 123万円(扶養の壁)
扶養親族の所得要件が 103万円 → 123万円 に引き上げ(給与のみの人の目安)。
これは 給与所得控除の最低保障額が65万円へ引き上げ、あわせて基礎控除などが見直されたことに連動します。 - 160万円(配偶者の壁の“緩和”)
配偶者特別控除について、満額を受けられる配偶者の給与水準が160万円へ引き上げ(令和7年度税制改正)。 - 19〜22歳の子(大学生年代)
「103万円を超えたら親の控除が消える」をなだらかにする 特定親族特別控除が創設。
収入が給与だけの場合、123万円超〜188万円以下の範囲で控除額が段階的に設定されます。
社会保険系(扶養/加入)
- 106万円(加入の壁)
いわゆる「年収106万円」は、正確には 月額8.8万円以上などの条件で 社会保険(厚生年金・健康保険)に加入になる目安。
条件(例):週20時間以上、月8.8万円以上、2か月超の雇用見込み、学生でない、など。 - 130万円(扶養の壁)
原則、年収130万円以上になると 配偶者の扶養(第3号)から外れ、国民年金・国民健康保険の負担が発生し得ます(週20時間未満でも)。 - 150万円(19歳以上23歳未満の“被扶養者認定”)
2025年10月1日以降、社会保険の被扶養者認定の年間収入要件が、19歳以上23歳未満は 150万円未満へ(それ以外は原則130万円未満)。
迷わないための「1分診断」:あなたに関係ある壁はどれ?
A:あなたは「扶養される側」?「扶養する側」?
- 扶養される側(配偶者・子・家族) → まず 106/130/150(社会保険) と 123(税)
- 扶養する側(親・配偶者) → まず 123(扶養控除) と 160(配偶者特別控除)、子が19〜22なら 特定親族特別控除
B:あなた(または扶養家族)は、週20時間以上で働く?
- YES → まず 106(社会保険加入) を確認
- NO → 次に 130/150(社会保険の扶養) を確認
【税金】123万円の壁(扶養控除の「扶養に入れる/外れる」ライン)
何が変わった?
令和7年度税制改正で、給与所得控除の最低保障額が 55万円→65万円 に引き上げられました。
首相官邸の整理では、これにより 扶養基準が103万円→123万円に引き上がったと説明されています。
123万円を超えるとどうなる?
- “扶養控除の対象”から外れる可能性が出る(扶養する側の税負担に影響)
- ただし、誰の扶養か(配偶者/子/その他)や、次の「特定親族特別控除」の対象かで扱いが変わる
【税金】19〜22歳(大学生年代)の子:特定親族特別控除(2025-)
「子のバイトが103万円を超えると、親の控除がゼロになって世帯手取りが落ちる」問題に対応する仕組みとして、特定親族特別控除が創設されました。
ポイントだけ超要約
- 対象:19歳以上23歳未満の親族(一定要件あり)
- 子の収入が給与だけの場合、123万円超〜188万円以下の範囲で、控除額が段階的に設定
(例:123万超〜150万以下は63万円、…と段階的に減少)
いつから反映?
国税庁の整理では、制度としての創設に加え、令和8年1月以後の給与などで源泉徴収(毎月の天引き)に反映されるケースが示されています。
【税金】160万円の壁(配偶者:103で止めなくていい方向へ)
配偶者については「103万円を超えると世帯の手取りが落ちる」と言われがちですが、実際には 配偶者特別控除があり、一定範囲では控除が段階的に調整されます。
さらに令和7年度税制改正で、配偶者特別控除が満額受けられる配偶者の給与水準が160万円に引き上げと整理されています。
ただし、注意:ここは税金の話。社会保険(106/130)は別で判定されます。
【社会保険】106万円の壁(=短時間労働者の加入条件)
「年収106万円を超えたら即アウト」ではなく、もともと 複数条件の組み合わせで社会保険加入になります。
政府広報オンラインの整理では、たとえば次の条件が示されています:週20時間以上、月8.8万円以上(年収換算で約106万円)、2か月超の雇用見込み、学生ではない、など。
重要:106万円の“賃金要件”は撤廃予定
厚労省は、いわゆる「年収106万円の壁」として意識されていた 月額8.8万円以上の要件を撤廃すると説明しています。
撤廃時期は「法律の公布から3年以内」で、全国最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断、とされています。
【社会保険】130万円の壁(扶養から外れて国保・国民年金になる可能性)
厚労省のQ&A整理では、週20時間未満で働く場合でも 年収130万円以上となると扶養(第3号)から外れ、国民年金と国民健康保険の保険料が発生すると説明しています(※一時的な収入増の場合の特例にも言及)。
【社会保険】150万円(19歳以上23歳未満の被扶養者認定:2025/10/1〜)
日本年金機構は、19歳以上23歳未満について、被扶養者認定の年間収入要件が 2025年10月1日以降は150万円未満になると案内しています。
(それ以外は原則130万円未満、60歳以上・障害者は180万円未満などの基本枠も併記されています。)
よくある勘違い(ここが“損した”の正体)
勘違い1:123万=社会保険も変わる
→ 変わるのは主に税金(扶養控除の扱い)。社会保険は106/130/150側で別判定。
勘違い2:106万を超えたら手取りが必ず減る
→ 加入で保険料負担は増えますが、厚労省は「厚生年金が上乗せで終身」「健康保険の給付が手厚い」などメリットも整理しています。
勘違い3:配偶者は103で止めるのが正解
→ 税金だけ見ると、配偶者特別控除が満額の給与水準が160万円へ引き上げと整理されており、「103で止める」前提が古いケースがあります。
記事のまとめ
- 扶養(税)の基準は123万円へ引き上げ(2025改正)。
- 配偶者は“160万円”が新しい重要ライン(配偶者特別控除の満額水準)。
- 社会保険は106/130/150で別判定。特に
- 106:加入(ただし賃金要件は撤廃予定)
- 130:扶養から外れる目安
- 150:19歳以上23歳未満の扶養認定(2025/10/1〜)
- 19〜22歳は税でも 特定親族特別控除が新設され、123万超でも段階的に手取り逆転を抑える設計。
迷ったら「税金」と「社会保険」を分けて考えるのがコツ。自分の働き方に合うラインだけ押さえて、損しない選択をしていきましょう。


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