【ヤマハ YZF-R3 レビュー】320ccツインで42PS。R25の上を行くフルカウルスポーツ【R25・Ninja400とも比較】

ヤマハ

ヤマハ YZF-R3 ABS は、

  • 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒
  • 総排気量 320cm³
  • 最高出力 31kW(42PS)/10,750rpm
  • 最大トルク 30N・m(3.1kgf・m)/9,000rpm
  • 車両重量 169kg
  • シート高 780mm
  • 燃料タンク容量 14L

というスペックを持つ、小型二輪クラスのフルカウルスポーツです。

見た目はYZF-R25とほぼ共通ですが、「排気量アップ版」ではなく、

R25の扱いやすさをそのままに、
パワーと余裕をきっちり底上げしたモデル

という立ち位置のバイクです。

この記事では、

  • YZF-R3の正確なスペック
  • 良いところ/気になるところ
  • R25・Ninja400・ZX-4Rとの“性格の違い”
  • 向いている人/やめた方がいい人

を、街乗り〜ツーリング・たまのワインディング目線で解説していきます。

※画像はAIによるイメージです


YZF-R3ってどんなバイク?

主要スペック(8BL-RH21J)

車体サイズ・重量

  • 全長 × 全幅 × 全高:2,090mm × 730mm × 1,140mm
  • 軸間距離:1,380mm
  • 最低地上高:160mm
  • シート高:780mm
  • 車両重量:169kg
  • 乗車定員:2名

エンジン・燃料関連

  • 原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
  • 気筒数配列:直列2気筒
  • 総排気量:320cm³
  • 内径 × 行程:68.0mm × 44.1mm
  • 圧縮比:11.2:1
  • 最高出力:31kW(42PS)/10,750rpm
  • 最大トルク:30N・m(3.1kgf・m)/9,000rpm
  • 始動方式:セルフ式
  • 燃料供給方式:フューエルインジェクション
  • 燃料タンク容量:14L(無鉛レギュラー)

足まわり・ブレーキ・タイヤ

  • フロントサスペンション:倒立テレスコピック
  • リアサスペンション:リンク式モノクロス
  • フロントブレーキ:油圧シングルディスク+ABS
  • リアブレーキ:油圧シングルディスク+ABS
  • タイヤサイズ
    • フロント:110/70R17M/C(54H)
    • リア:140/70R17M/C(66H)

燃費(国交省届出値)

  • 定地燃費値:41.6km/L(60km/h・2名乗車時)
  • WMTCモード値:25.4km/L(クラス3・サブクラス3-2・1名乗車時)

数字だけ見ると、「R25より少し重くて少しパワフルな320ツイン」。
実際のキャラクターもそのイメージにかなり近く、街乗り〜ツーリングをベースに、スポーツ走行まで対応できる万能型フルカウルです。


YZF-R3の良いところ(メリット)

① 320ccツイン×42PSで、高速もツーリングも余裕あり

R25との一番の違いはこの排気量と出力アップ。

  • 320cm³
  • 42PS/10,750rpm
  • 30N・m/9,000rpm

のおかげで、

  • 一般道では、R25より少しだけ回転に余裕を持たせて走れる
  • 高速道路の合流・追い越しで「もうひと押し」が効く
  • 登り坂や二人乗りでも、250ツインより明確に余裕を感じやすい

**「R25の乗りやすさに、もう少しゆとりを足した感じ」**のエンジン特性で、
ツーリングを多めに考えている人にはかなりハマります。


② 169kgの車重とコンパクトな車体で扱いやすい

  • 車両重量:169kg
  • 全長2,090mm/ホイールベース1,380mm

というスペックは、クラスとしては標準的〜やや軽め。

  • 押し引きで「重くて無理…」と感じるほどではない
  • 取り回し時の不安も、リッターSSに比べればかなり少ない
  • ワインディングでも向き変えしやすく、ヒラっと倒し込んでいける

初めてのフルカウルでも現実的に扱えるサイズ感になっています。


③ 780mmシート高+スリムな車体で足つきも悪くない

  • シート高:780mm
  • タンク周り・シートの絞り込みも工夫されていて、足が下ろしやすい

フルカウルスポーツとしては、

  • 「極端に高い」部類ではなく、身長次第では片足べったりも狙える
  • ストンと足を下ろしたときの安心感は、ハイシートなSSより上

足つき最優先のクルーザーほどではないですが、
250〜400クラスのフルカウルとしては現実的な足つきと言えます。


④ 倒立フォーク+スポーティな足まわりでコーナリングが楽しい

  • 倒立フロントフォーク
  • リンク式リアサスペンション
  • ラジアルタイヤ(110/70R17・140/70R17)

という構成で、

  • ブレーキング時の接地感が分かりやすい
  • コーナー進入〜旋回も素直で、“曲がる感覚”が掴みやすい
  • 峠やサーキット走行にも十分対応できるポテンシャル

「見た目だけスポーツ」ではなく、しっかり走りも伴ったフルカウルです。


⑤ R25と共通イメージのデザインでカスタムパーツも豊富

  • デザインはR25と基本共通
  • 外装・スクリーン・マフラー・ステップなど、対応パーツが多い
  • カラーリングは年式ごとにレーシーなグラフィックが用意されることが多い

社外パーツやアクセサリの選択肢が広いので、

  • ロングツーリング用にスクリーン・キャリアを追加
  • サーキット寄りにステップ・サス・スライダーを装着

など、用途に応じて仕立て替えしやすいのも強みです。


YZF-R3の気になるところ(デメリット)

① 前傾ポジションは「それなりにスポーツ」

  • セパレートハンドル
  • ステップ位置も高め
  • シートもそこそこ高い位置

という構成なので、

  • スクーターやネイキッドのような“ラクさ全振り”ではない
  • 渋滞路や長時間の街乗りでは、手首や腰が疲れる人もいる

あくまで「スポーツバイク寄り」のポジションなので、
ひたすらラクな姿勢で乗りたい人には向きません。


② ネイキッドに比べて取り回し・修理コストはそれなり

  • フルカウル装備のため、幅はそこそこあり、取り回しスペースが必要
  • 立ちゴケ時にカウルを割ると、修理費がネイキッドより高くつきやすい

見た目と防風性の代わりに、
「倒したときのショック」や「モデルチェンジ時のマイナーチェンジへの物欲」も付きまといやすいです。


③ 400ツインやZX-4Rほどの“暴力的な余裕”はない

320ccで42PSというスペックは、小型二輪の中では十分ですが、

  • 400ccクラスのツイン
  • 高出力な4気筒400

と比べると、やはり排気量なりの差はあります。

  • 高速をかなりハイペースで巡航したい
  • サーキットでラップタイムを詰めるのが主目的

といった使い方だと、
「もっと上のクラスでもよかったかも」と感じるライダーもいるはずです。


ライバルとの比較:R25・Ninja400・ZX-4Rあたりとどう違う?

1. YZF-R3 vs YZF-R25

同じ車体・スタイルで排気量だけ違う兄弟モデル。

YZF-R25(日本仕様の代表的スペック)

  • 249cm³直列2気筒
  • 最高出力・最大トルクはR3より控えめ
  • 車両重量はR3とほぼ同等

YZF-R3

  • 320cm³直列2気筒
  • パワー・トルク両方に余裕あり
  • 高速道路・登り坂・二人乗りで差が出る

選び方のイメージ

  • 下道メイン・維持費重視・“まずは250から” → R25
  • 高速も視野に入れたツーリング・中高速域での余裕を重視 → R3

「どうせなら余裕のある方を」と考えるなら、
最初からR3を選んでおいた方が“買い替えたい欲”は出にくいです。


2. YZF-R3 vs Ninja400・CBR400R(400ツイン勢)

400ツイン勢は、排気量とトルクで一歩上のクラス。

  • Ninja400/CBR400Rなど
    • 400cm³クラスの並列2気筒
    • トルクと高速域の余裕はR3より上
  • YZF-R3
    • 車検の無い小型二輪クラスではなく、320ccなので車検対象
    • それでも400よりは軽めで、R系らしい軽快なハンドリングを持つ

ざっくり方向性としては:

  • 「高速を多用して、タンデムツーリングも視野に入れる」 → 400ツイン勢有利
  • 「ヤマハのRシリーズのフィーリング・デザインが好きで、小排気量スポーツの世界を楽しみたい」 → R3

という住み分けになります。


3. YZF-R3 vs ZX-4R・ZX-25Rなどの“高回転4気筒勢”

  • ZX-4R・ZX-25R などの4気筒スポーツは、
    「高回転で回してなんぼ」「サーキット前提」のキャラが非常に強いモデル。

それに対してYZF-R3は、

  • 2気筒らしいトルク感と乗りやすさ
  • 高回転だけでなく、実用回転域でも扱いやすい出力特性
  • ランニングコストも4気筒勢より現実的

「日常〜ツーリングで無理なく楽しめるスポーツ」か、
「高回転4気筒の世界に全振りするか」
の違いと考えると分かりやすいです。


YZF-R3は初心者にも向いている?

向いているポイント

  • 2気筒でトルクが扱いやすく、いきなり暴力的な加速にはなりにくい
  • 169kgの車重とコンパクトな車体で、取り回しもしやすい
  • ABS搭載で、ブレーキの安心感も高い
  • シート高780mmで、フルカウルスポーツとしては極端に高くない

「最初からフルカウルスポーツに乗りたい」初心者にも、現実的な選択肢です。

注意したいポイント

  • ネイキッドやスクーターより前傾姿勢で、渋滞路メインだと疲れやすい
  • カウル付きなので、立ちゴケ時のダメージがネイキッドより大きい
  • 足つき最優先のクルーザー系ほどの安心感はない

通勤・買い物メインで“移動手段としてだけ”使うなら、
もう少しラクなジャンルのバイクの方が向いているかもしれません。


YZF-R3で後悔しやすい人

  • 毎日、渋滞だらけの通勤でしかバイクを使わない
  • とにかくラクなポジションが絶対条件
  • 足つき最優先で、もっと低いシートが欲しい
  • サーキットで本気でタイムを詰めることだけが目的

こういった人は、

  • ネイキッドやスクーター
  • ローシートのクルーザー
  • もしくはZX-4R・CBR600RRなど別のクラスのSS

を検討した方が、満足度は高くなりやすいです。


YZF-R3で満足しやすい人

  • YZF-Rシリーズのスタイルに惹かれる
  • R25より、少し余裕あるパワーが欲しい
  • ツーリング・ワインディング・たまにサーキットを幅広く楽しみたい
  • 4気筒の維持費やピーキーさまでは求めない
  • 「乗りやすさ」と「Rらしいスポーツ性」の両方を大切にしたい

こんな人にとって、YZF-R3は

“等身大で楽しめる、本気すぎないスポーツバイク”

として、かなり後悔しにくい1台になるはずです。

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